life is like a bike

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photo:ピレネーのとあるシャトーホテルのジュニアスイート テレビはサムソン

10数年前までは世界中で日本の家電が席巻していたが、
このところの凋落ぶりがひどい。特にテレビだ。

海外に行くとそれが顕著にわかる。
例を挙げるとフランクフルト空港のテレビモニタはすべてサムソン。
ホテルで日本製のテレビを見かけることは、ほぼなくなった。
ピレネー山中のど田舎のホテルまでテレビはサムソンである。

サムソンは日本のメーカーを追いかけているだけではダメだと
トップが判断して、大きな方向転換をした。
過剰な品質を求めるよりは、地域のニーズを捉えていこうというのが
その一例だ。盗難の多い地域では冷蔵庫に鍵をつけたり、
クリケットの盛んなインドではテレビのどのチャンネルでも画面隅に
試合経過が映るようにしたり、祈りの時間になるとコーランが
流れたり、という具合だ。

部品さえ調達すれば、小さなメーカーでもテレビを作れるようになった今、
どんなに高品質な製品を作っても価格は下がる一方である。
その状況でどうすれば売れるかをサムソンは考え抜いた。

日本のメーカーのトップの人たちが今何を考えているかは
わからない。ただ、最近メーカーの人たちとつきあっていて
思うのは、「このメーカー、大丈夫かな。」ということだ。
他部署との横の連携がほとんどなく、合理的、建設的な考えもなく、
慣習と惰性に従って仕事をしている人が多いのではないかと感じる。
それが名もしれない小さな企業ならともかく、世界に名の知れた
大企業がそれなのだから、この先日本は大丈夫なのだろうか、
という気分になる。

大王製紙やオリンパス、東京電力の連中をみてもわかるように

本人達からは自分たちが悪いことをした、不手際をしたという
切迫したものがまったく感じられない。あの感じが末端まで
蔓延しているような、そんな状況のように私には思える。

繁栄した国は没落するしかない、と昔村上龍が書いていたが
本当にそのとおりになるのだろうか。

参考:
ボツになった「テレビ産業壊滅の真相」/湯之上 隆
日本の家電メーカーに未来はあるのか/JMM 村上龍


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