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政府と反乱―すべての男は消耗品である<Vol.10> (幻冬舎文庫) 政府と反乱―すべての男は消耗品である<Vol.10> (幻冬舎文庫)
村上 龍幻冬舎
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「誰が政権をとろうと同じで、国は国民すべてをハッピーにする政権などとりようがない。
必ず優先順位をつけ、資源の再配分から漏れた人びと、優先順位の低い人びとに対し
説明をしなければならない。あなたがたはとりあえず後回しです。そんな説明をするのは
誰だっていやなので、政治家は優先順位について話したがらない。」

「繰り返すが、国は財政が危機的状態で、すでに富の再配分機能を持っていない。
つまり国には地方を救済する能力がない。それなのに、政治家は「地方と都市部の
格差是正」などと相変わらず寝言のようなことを言っている。経済力がないくせに
ぼくはあなたを幸せにしますと言っているストーカー男と変わるところがない。」

本書は「すべての男は消耗品である」と題して雑誌に連載されているエッセイ集が
改題されて単行本になったものだ。作家の仕事は時代を正確に描写すること、という
村上龍は、私達が曖昧に概念化していることを、鋭い視点で言語化して私達に突きつける。
今回はタイトルが「政府と反乱」とあるように、政治に関するエッセイが多い。

新しい政党が乱立する異様な状況の選挙を迎え、私はふとこの本を手にとって再読した。
この本は2009年に出版されたものを改題したものだが、当時と政治の状況が
ほとんど変わっていないことに暗澹たる気分になる。早急な行動や変化が求められているのに
この日本は停滞したままなのだ、ということを実感する。

冒頭の引用にあるように、もはやすべての人びとが一律に幸せになることはない。
なのに、政党のスローガンには「日本再生」「復活」「再建」などといった言葉が並ぶ。
誰が再生するのか、復活とはどういう状態を指すのか、明らかにされることはない。
政治活動をする上で、そういった言葉を使わざるを得ないのだろうとも思うが、
多くの人は空々しいと思っているだろう。地方で威勢のよいことを叫んでいる
立候補者はバカだと思われても仕方ないだろう。

では、我々はこのような状況で誰を選べばよいのか。
そのキーワードは「政権交代より世代交代」ではないかと思う。
70代、80代という人生の後半に差し掛かった立候補者は
年金がなくてもやっていけるだけの経済力があるだろうし、
少々汚染されたものを食べても問題ないだろう。
彼らには差し迫った切実さがないのだ。

このような老人たちがパワーを持ち、この国を動かし続けていることが
この国の停滞の原因であるから、彼らには退場して頂こうということだ。
国会議員の大半が若手で占められれば、この国も動き出す気がする。
どの政党の誰に投票するか決めかねている人は、信頼できそうな人で
できるだけ若い人を選ぶ、というのはどうだろう。

この本を読んでそんなことが頭に浮かんだ。

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