life is like a bike

ちきりんが書いた、犯罪者の兄弟姉妹の人生についてのエントリーを読んだあとに飛び込んできたのは、理研の笹井氏自殺の報だった。わかっているのは、STAP細胞に関する論文の不正問題発覚後に心の病を発症して、最近では薬の影響もあって心身ともに相当悪い状態だったらしい。例の不正問題でマスコミの格好の餌食となり、公私にわたって追い回されて強いプレッシャーに晒されていたのだろう。マスコミは彼にプレッシャーを与えたという自覚はなく、自ら命を絶つことはどんな理由であろうとよくないことだというメッセージを伝えることもなく、次は残された家族や職場の人たちに取材攻勢をかけるのだろう。

一つの事実として、日本の優秀な頭脳が失われたことは確かだ。トラブルや誤りがあった時には、原因を明らかにして対応策をたてて実行すればよいだけで、メディアはその監視役であるはずだ。しかし、メディアはその対象を追い回して、プレッシャーをかけ続ける。なぜなら、それだけで番組が成り立ち、それを視聴するだけで満足する視聴者がいるからだ。このような構図がこの国にある限り、失敗や誤りの隠蔽は続くだろう。メディアに晒されることのコストがあまりにも大きいからだ。しかし実際はこのようなメディアのありかたを許していることによるコストの方がよほど大きいのではないだろうか。

自殺をした人とはもう話をすることはできず、その胸のうちにあったものも、真実も知ることは二度とできない。残されたものには永遠に満たされない思いだけが残る。ポジティブなものは何一つない。だから自殺はしてはいけない。笹井氏のご冥福をお祈りする。残念なことだ。 

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