やはりテレグラフを下ってすぐに補給ポイントがあった。
体力を消耗している我々は、ここでも補給とブレイクを取ることにする。
補給ポイントでは、フルーツやフランスパンの
サンドイッチなどを頂くことができる。
5年前のエタップではペットボトルが配られて、
そのゴミで周囲が大変なことになっていた。
マルモッタでは環境への配慮からか
紙コップで水やスポーツドリンクが提供され、
ゴミの散乱はほとんど見られなかった。
補給を終えて、再び走りだす。
小さな村を通り抜けるときに、カフェでたむろしている
ローカルサイクリストたちから、応援の声がかかる。
「DeRosa Allez!」という声に振り向くと、デローザ乗りが
手を降っていた。軽く手を挙げて一瞬笑顔になる。
国や言葉は違っても、何かがきっかけで通じ合える。
マルモッタは沿道の観客は少ないが、ローカルサイクリストや
各国からやってきているチームのサポートスタッフからの
応援を何度か受けた。
彼方に見えるのはガリビエか。
ここからまた、延々と続く上りが始まる。
雲行きが怪しくなってきた。
写真の上手い仲間たちなら、どんな構図で撮るだろうか
なんて考える余裕があったのもこのあたりまで。
峠に近づくにつれ、勾配は厳しさを増してゆく。
自分が通ってきた道を振り返ると
ずいぶんがんばったと思うけれど、
前を向けば、先はまだまだ長い。
峠まであと5km。
このあたりから、足を止めたり、道端にしゃがみこんだり
している参加者が多くなってきた。
十分な準備もなく、軽い気持ちで参加した人、
コンディションが十分でなかった人は、
残念ながら、このガリビエでふるい落とされる。
私は軽いギアでできるだけ筋肉に負担をかけないように
走ってきた。ダンシングも適当に入れて、負荷を分散してきた。
それでも、膝に痛みが走るようになってきた。
ヒロチェも厳しい表情。
これから一番の難所だというのに、
俺も、ヒロチェも乗りきれるだろうか
という不安が何度も頭をよぎった。
給水所にて。
水分補給はもちろん、酷使している筋肉たちが
オーバーヒートを起こしそうだったので
腕や足を冷やしてやる。
先に見える道のりは、まだまだ長く、そして険しい。
ところどころで、雪解け水が道路に溢れ出す。
この折り返しの厳しさが写真からわかるだろうか。
これだけ視界の開けた山を、延々と上る機会は
日本ではなかなかないだろう。
絵に描いたような美しい風景の中を走る。
しかし、ここはツール・ド・フランスでカテゴリー超級に
類される上り。本当に厳しい。
頭は天国にいながら、足は地獄にいるようだ。
5年前は山頂ですら雪がなかったが
今年は峠のかなり下から雪が残っていた。
テレグラフに上り始めるまでは
30℃以上はあろうかという暑さだったが
ガリビエの気温はかなり低い。
過酷な条件の中、過酷なルートを辿る。
上の写真にあるように、峠までの残り数キロは、
折り返しを重ねて一気に高度を上げていく。
本当に厳しい。
サイクリストの息遣いだけが聞こえる中、雷鳴が轟く。
周囲にそびえ立つ4000m級の山々に囲まれ、
心を無にして、ただひたすらペダルを踏む。
ガリビエ峠直前。
私は感動のあまり声が震えてしまった。
ようやく辿りついたぜガリビエ峠!
よく頑張ったぜ!
これまで数々の名勝負の舞台となり、
数多くのサイクリストを見守ってきた、この伝説の峠は
神聖なる空気に包まれていた。
続く
コメント
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これはスゴイなぁ、見てるだけで息が切れそうですよ。
>コバッタさん
Raphaのサイトに
「サイクルロードレースは最も過酷で最も美しいスポーツだ」
というようなことが書いてありましたね。
ガリビエは本当に美しく、そして厳しい峠です。
ローディの魂の故郷という感じがしました。
ハラハラどきどきしますね。
息が上がっているのが聞こえてきそうだ。
行ってみたい。先はあんまり無いので行くなら今のうちか。
>ozunuさん
いやもう、息は上がるし、筋肉は限界だし大変でした。
でも最高の経験でしたよ。
>noyageさん
先はまだまだ長いと思いますけど、、、
海外のグランフォンドはnoyageさんより
年配の方が、たーくさん走られてますよ。
人生は一度きりなので、
是非チャレンジしてください。
「頭は天国にいながら、足は地獄にいるようだ」は名言ですね。
ボクも来年はエタップで同じ境涯を味わいたいです。
たぶんアルプスでしょうが,どの峠になるのか,今から楽しみです。
>ペダルさん
それは、たぶん「シャカリキ!」から拝借した
フレーズですw
エタップ楽しみですね。
ガリビエは本当に是非とも走って頂きたいです。