life is like a bike

嫁さんのお祖母様は、先日102歳で亡くなられた。
看取ってくれた先生、葬儀会場のスタッフ、お経を挙げて下さった住職
皆さんから感嘆と賞賛の声を頂いた。
家族に涙は無く、感謝と笑顔に見送られてお祖母様は旅立たれた。
こんなに和やかな葬儀は初めてで、何か清々しかった。

最近読んだ本によると、現代の先進国に生まれた子供たちの平均寿命は
100歳を超えるだろうという。彼らが老いる頃には、100歳を過ぎて死んでも
誰も驚かなくなるということだ。世界がリセッション(景気後退)に
向かう中、平均寿命だけが伸びていくとすると、私達は働き方を含む
ライフプランを大きく考え直さないといけなくなるだろう。

先日、京大の山中教授がノーベル生理医学賞を受賞した理由は
「成熟細胞が初期化され多能性をもつことの発見」によるものだった。
この基礎研究が実用化されれば、人間の古くなった器官、病気や事故
などで悪くなった臓器などを、細胞を初期化して再生した新しいものに
取り替えることも夢ではなくなる。再生した臓器で治療法の研究も進む。
これによって我々人類の寿命は飛躍的に伸びることになるだろう。

一方、かのSteve Jobsは有名なスピーチの中でこんな言葉を残している。
「死は、私たちすべてが共有する行き先だ。
かつてそこから逃れた者は1人としていない。
そして、それはそうあるべきなのだ。
なぜなら「死」は生物による最高の発明だから。
それは生物にとって、古いものを取り除き、
新しいもののための道を開いてくれる変革の担い手なのだ。」
from Stanford Commencement Speech 2005

我々人類は、これから飛躍的に平均寿命が伸びる未体験の時代に突入する。
Jobsが言うところの「変革の担い手」である「死」の力が、人間の手によって
徐々に弱められていくことは本当に良いことなのだろうか。
メメント・モリ(死を忘れるな)という言葉があるが、その死が遠い遠い
先のことになってしまった場合、人間の死生観はどうなってしまうのか。
102歳のお祖母様の死の翌日に、山中教授の所属するiPS細胞研究所の教授の
講演を聞いたのは偶然にせよ、人間の死と生について強く考えさせられた。

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